信仰と罪の継承
毎年、10月の第一主日は世界聖餐日です。と同時に日本基督教団では「世界宣教の日」と定めています。海外からの多くの宣教師によって日本にも福音が伝えられました。日本からも海外へ宣教師を送っています。特に、この教団からは現在11ヶ国に派遣しています。その中でホ-リネスの群からはドイツとフィリピンに女性宣教師が送られています。2人とも私達夫婦と同じ時期に神学校(全寮制)で学び、同じ屋根の下で過ごし、同じ釜の飯を食った仲間です。フィリピンで用いられているベルトラン小川文子師は、最初はカンボジアへ遣わされましたが、フィリピン人と結婚され、今年のクリスマスには上町教会でも奉仕される予定があります。
聖書は民族の違いを意識させる本です。古代社会での子孫繁栄が新しい民族を次々と生みました。本日のテキストは、ユダヤ民族の祖であるアブラハムの息子イサクがペリシテ人の王の元へ行った話です。ちなみに現代のパレスチナという名前の由来は、このペリシテからです。イサクにも神は現れて、父アブラハムの信仰継承を促しました。神が命じる土地はゲラルです。アブラハムの時代にも飢饉があって、その時のゲラルの王も同じ名前のアビメレクでした。アブラハムは、エジプトとゲラルで各々、飢饉から逃れるために住みました。そして、妻のことを妹と言ってしまうことが2回もありました。
イサクは美人妻を娶(めと)ることまで父から継承し、父と同じ失敗をしました。妻のことを「妹」と言ってしまった心の動機も父と同じでした。リベカを妻と正直に言ったら、妻を奪われて自分が殺されるかもという野蛮な時代だったので、その危険を避けるための保身でした。イサクにとってリベカは元々は親族でしたが、今は正々堂々と妻と言うべきでした。妹と言ったのにイサクはリベカと戯れているところを王に見られました。長い期間、嘘をついていられたのですが、神の時がきました。イサクは父から信仰のみならず罪の継承もしていました。その罪が大事(おおごと)になる前に、神は王とイサクに罪を気付かせてくださったのです。イサクが罪を悔い改めたからこそ、土地に穀物の種を蒔くと100倍もの収穫があり、神に祝福されている証拠です。他の人達が同じように種を蒔いても、そんなことは起きません。旧約時代の神からの祝福の証しとして、イサクは物質的にも恵まれました。本日の最後に「自分だけが恵まれて、許せない!」というようなペリシテ人の妬みの悪感情が記されています。今後、試練が起きる予告です。
民族間の争いもあれば、同じ民族いや家族でも争うことがあるのが罪の世です。世界宣教は、福音の価値観が全世界に及び、聖霊の働きによって真の平和を知ることを目的としています。それは、イエス様の十字架の愛を信じて、ユダヤ人も異邦人も神の前では平等という真理です。イサクの子孫から生まれたイエス様には、罪がありません。まだイエス様を知らない人々への宣教、そして伝道を中心とする働きのために、私達は祈りを持って宣教師を応援しましょう。同時に日本での各教会の伝道のためにも祈りましょう。